きみはずっと助けを求めていた
でも誰にも届かなかった
憎悪はきみを窒息させた
きみはとうとうロープを買った
首をかけるその瞬間まで
きみは助けを求めていた
でも届かないと知っていた
何も残らないと知っていた
届くなら、報われるなら
こんなことになっていない
きみはそれを悟っていた
後数分の我慢だと言い聞かせた
主の居なくなった部屋に転がるのは
結局失敗に終わった
クーデター計画の武器
瑞々しいそれらは
枕元に散乱している
鼻炎持ちだったきみの
鼻をかんだティッシュと
同等の価値に成り下がった
リビングでは母親の泣き声と
何も知らない猫の鳴き声が響く
きみの歴史は霧散し
思いすら残らなかった
誰もきみを覚えていないし
きみの闘いを知らなかった
きみは優しすぎたんだ
誰かを殺すこと以外に
存在の証明方法がなかったから